2020/11/21
テーマ: 税 / 2020 / すべて
年末も近いことだし、2,000 円を除いた全額が税額控除される寄附金額の上限がなぜどうやって決まるのかについて調べてみました。
根拠となる法律は地方税法 第37条の2 寄附金税額控除だそうですが、ここでは総務省の説明ページを信用するとして、これを元に説明します。
総務省の説明ページによると、税金から控除される項目と額は以下の 3 つあります。
(1) 所得税からの控除 = (min(寄附金額, 総所得金額等の40%) - 2,000円) × 所得税の税率
(2) 住民税からの控除(基本分) = (min(寄附金額, 総所得金額等の30%)) - 2,000円) × 10%
(3) 住民税からの控除(特例分) = min( 住民税所得割額 × 20%, (寄附金額 - 2,000円) × (100% - 10% - 所得税の税率) )
※所得税の税率は復興特別所得税(所得税率×2.1%)込み
※所得税の税率は実効所得税率ではないので注意(所得税が安くなる分は所得控除による差分なので)
※所得税は累進課税なので、率が変わるところをまたぐ場合この式だと不正確かもしれません。正確には「寄付しなかった場合の所得税 - 寄付した場合の所得税」を計算する必要がありそうです。
なんで 3 つなんだ、ややこしいじゃねぇかということなんですが、たぶん (1), (2) は寄附金額分を所得控除したときに結果的に税金が減る額なんですね。
だから、たぶん (1)(2) はふるさと納税導入前に元々あった寄付金の所得控除分で、(3) が後から追加されたんじゃないかと筆者は思っています。
寄付金は 2,000 円以外税額控除したいけど、所得控除も有効だから「2,000 円以外税額控除」としてしまうと所得控除によって税金が安くなった分を過剰に引いてしまうことになるので、その調整のために (3) でわざわざ(100% - 10% - 所得税の税率)を掛けているものと思われます。
式を眺めていて少額なら合計 100% になるのになんで分けてるんかなと思ってたんですが、これに気づいてなるほど!と思ったわけです。
以上がこの記事で言いたかったことですw
従来の寄附金控除制度では減額することができなかった税額の残りの部分を網羅する形で特例制度を設けているといえます。
という記述があり、概ね筆者の理解で間違っていないんじゃないかと思います。
地方税法 第37条の2 寄附金税額控除をよく見てみると(3)の(100% - 10% - 所得税の税率)の表っぽいものがありますね。
2,000 円を除いた全額が税額控除されるような寄付金額は、
(3) の min のところの条件が一番厳しいので
住民税所得割額 × 20% = (寄附金額 - 2,000円) × (100% - 10% - 所得税の税率) となるときの寄付金額ということになるので
2,000 円を除いた全額が税額控除されるような寄附金額 = 住民税所得割額 × 20% / (100% - 10% - 所得税の税率) + 2,000円
住民税所得割額のままだとまだちょっと試算しづらいので、仮に住民税所得割額 = 課税所得 × 10% としてみます。そうすると
2,000 円を除いた全額が税額控除されるような寄附金額 = 課税所得 × 2% / (100% - 10% - 所得税の税率) + 2,000円
となるので、課税所得とふるさと納税上限額の関係は概ねこんな感じになります。
(課税所得 → ふるさと納税上限額)
〜195万 → 課税所得 * 2.36%
〜330万 → 課税所得 * 2.51%
〜695万 → 課税所得 * 2.87%
〜900万 → 課税所得 * 3.01%
〜1800万 → 課税所得 * 3.55%
〜4000万 → 課税所得 * 4.07%
それ以上 → 課税所得 * 4.54%
※株式譲渡とかの収入がある場合など、住民税所得割額 = 課税所得 × 10% とは限らないのでまたちょっと違ってくるはずです。
これを具体的な額が分かる表にしたものがこちらにあります。→課税所得と最適なふるさと納税額の一覧表
控除っていうのは「何かから何かを差し引く」という意味で、「ふるさと納税で所得税からの控除額が1000円である」と言った時は「ふるさと納税をすることで、支払うべき所得税が1000円減る」といった意味になります。
確定申告とかしてると○△控除という言葉がいっぱい出てきますが、「何から引くのか」が親切に明記されていないこともあるので注意が必要です。
例えば「基礎控除」は所得から引く額ですが「配当控除」というと税金から引く額だったりします。わざと分かりにくくしているところがあるような気がしますw
住民税は以下の 2 つの合計で、その一方が住民税所得割額です。
所得が少ないと均等割額も免除な場合があるということで一律同じじゃねぇじゃねえかという気もしますが、そういう分類だそうです。
住民税所得割額は概ね課税所得 × 10% という感じでしょう。(雑)
課税対象となる所得の額のことで、これに税率をかけると支払うべき税額になります。(雑)
課税所得 = 収入 - いろんな所得控除 (雑)
所得控除には雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、 小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除があるそうです。
この記事は 20 分くらいでささーっと書こうと思ってたんですが、いろいろ気になって調べているうちに 2 時間かかってしまいました🥺
2020/11/21
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